裁判員裁判とは、国民の中から無作為に選ばれた裁判員が、裁判官とともに裁判を行う制度です。

裁判員制度が適用される事件は、
①死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる罪に係わる事件(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律2条1項1号-以下 では、「裁判員法」と書きます)、
②法定合議事件(ほうていごうぎじけん)(法律上合議体-裁判官3人-で裁判することが必要とされている重大事件) であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するものです(同項2号)。

したがって、殺人罪、強盗致死傷罪、傷害致死罪、現住建造物等放火罪、強姦致死傷罪、危険運転致死罪、保護責任者 遺棄致死罪などの重大な犯罪に裁判員制度は適用されることになります。

ただし、「裁判員や親族に対して危害が加えられるおそれがあり、裁判員の関与が困難な事件」(裁判員法3条)に ついては、対象事件から除外されます。

裁判員は、裁判所の管轄区域内の衆議院議員の選挙権を有する者から、欠格事由(義務教育を修了しない者、禁錮以上 の刑に処せられた者など。(裁判員法14条)、就職禁止事由(一定の公務員、弁護士、裁判官、検事など法律関係者、 警察官など。同法15条)、辞退事由(70歳以上、学生、重要な用務があること、直近の裁判員従事など。同法16条)、 事件に関連する不適格事由(被告人・被害者の関係者、事件の関与者など。同法17条)などに該当しないものが選ばれ ます。

選任方法としては、各地方裁判所は、毎年9月1日までに、次の年に必要な裁判員候補者の員数を管轄区域内の市町村 に割り当て、市町村の選挙管理委員会に通知します(裁判員法20条)。
選挙管理委員会は、選挙名簿に登録されている者の中からくじで、裁判員候補者を選定し、裁判員候補者名簿を作成し、 地方裁判所に送付し、地方裁判所は、その名簿に記載された者にその旨を通知します(同法21条1項2項、22条、25条)。

対象事件につき第1回の公判期日が決まると、裁判所は、裁判員候補者名簿からくじで、呼び出すべき裁判員候補者を 選定し(同法26条)、呼び出します(同法27条)。

ただし、裁判所は、裁判員等選定手続きに先立ち、選定された裁判員に就職禁止事由がないかどうかの判断に必要な質問 をするため、質問票を送付します(同法30条1項・2項)。
その質問票では、
(1) 就職禁止事由への該当の有無、
(2) 1年を通じての辞退希望の有無・理由、
(3)特定の月の大半にわたって裁判員となることが困難な月がある場合、その特定の月における辞退希望の有無・理由が 尋ねられることになります。

さらに具体的刑事事件において、裁判長は、裁判員を選任するに当たって、裁判員になれない事由(同法13~18条)が ないかを判断するため、必要な質問をし(同法34条1項)、請求により又は職権で不選任(ふせんにん=選任しないこと) の決定をします(同法34条7項、37条1項)。
そのうえで、選任された候補者の中から必要な数の裁判員をくじ等で選任します(同法37条1項)。

 裁判員裁判では裁判を判断する裁判体は、原則として、裁判官3人、裁判員6人により構成され、裁判官のうち1を 裁判長とする合議体です(同法2条2項本文)。
裁判員は、事実認定(事実がなんであったかを確定すること)・法令適用(法律が適用されるかどうかを判断すること) ・刑の量定(有罪の場合どの程度の刑罰を被告人に与えるかを決めること)に関して、審理(裁判の手続)及び評議 (議論)に参加します(同法6条1項、66条1項)。

有罪の評決(合議体としての有罪の判断)をするためには、裁判官及び裁判員の双方の意見を含む合議体の員数の過半数 が有罪の判断をしなければなりません(同法67条1項)。

裁判員裁判は、平成21年5月よりスタートしましたが、その評価はまだ定まっていません。

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