勾留されている状態で、検察官に取り調べられ、略式請求(略式手続)への同意を求められ、略式請求(略式手続)に 同意した場合、通常、その日のうち手続が終了し、釈放されます。

犯罪を行ったこと自体に争いがない場合、略式請求(略式手続)か、公判請求かは、勾留されている被疑者にとっては、 非常に大きな違いとなります。

略式請求(手続)の場合は、遅くとも勾留満期までには釈放されることになりますが、公判請求の場合は、さらに、 1~2ヶ月勾留が続くことになってしまうからです。
肉体的・精神的な苦痛もさることながら、たとえば、職場等、理由を告げずに20日も休むことは、難しいですが、 さらに、1~2ヶ月の勾留ということになれば、完全にその理由を告げなければならず、職を失わざるを得ない可能性 が大きくなります。

そこで、勾留されており犯罪を行ったこと自体に争いがない場合、弁護人としては、不起訴処分が無理ということであれ ば、略式請求(略式手続)の可能性があれば、検事に対し、略式請求(略式手続)を行うよう働きかけることになります。
その被疑者の当該犯罪の行為態様、被害者の感情等について、罰金刑等の財産刑のみで処理をすることが妥当であること を説得するために、いわゆる情状弁護を行うことになります。

情状を主張していく弁護人の弁護方法としては、 被害者がいる場合であれば、示談がもっとも基本的な活動です。
また、被害者がいない犯罪、被害者がいても示談に応じない場合は、弁護士会等への贖罪寄付(しょくざいきふ)等の 手段を検討することもあります。

その外、再犯の危険性がないことを立証するため、被疑者・被告人を管理する人がいることを証明するため、職場の 上司、両親に陳述書を書いてもらったり、就職先が確定しているということを示すために、就職させてくれるという 会社の社長等の陳述書を作成し、提出したりすることも考えられます。

ただ、公判請求前は、弁護人には、警察・検察の捜査資料は開示されないため、手探り状態で、検察官を説得しな ければならず、また、時間も短いため、実際、示談以外の方法が採れないケースも多いのが実情です。

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