児童買春等の罪において、無罪を主張する場合としては、まず、そもそも、そのような行為を行っていないというものが考えられますが、このような無罪主張の場合は、どのように無罪であることを裏付けていくか、どのように弁護活動をするかは、個々の事案により、大きく異なることから、ここではふれません。
これらの罪において、被疑者、被告人等の方々から良く聞くのが、 その年齢とは思わなかったというものです。
しかし、被害者が13歳以下の場合は、一般的に考えても、 この理由を持って、無罪を主張するには無理があるし、 返って、処罰を重くすることになります。
また、被害者が14歳以上であっても、単に被害者がそう言っていた、 そうメールに書いてきた等の理由だけでは到底、無罪を認めてもらうことはできません。
したがって、この理由による無罪主張も多くの場合、難しく、 せいぜい、罪を認めた上での情状弁護の一環として主張しうるのが大多数の事例の場合です。
児童買春の罪は、 例えば、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律は、法律の想定上、もともと、かなりの重い罪とされているのであって、 現在でも、被害者が複数であれば、罰金ではすまず、公判請求されると考えられます。
また、前科がなく、だましたり、暴行して、そのような行為を行ったのでなければ、 執行猶予の可能性もありますが、ただ、裁判官による考え方の違いも大きく、 前科が無くても、裁判官によっては実刑がありえる罪です。
また、今後、ますます、重罰化することが予想されます。
また、公判請求されてからでは、対応が遅く、起訴前の弁護の重要性が大きな犯罪の一つです。
重い刑が出される事案としては、
1.被害者に対する謝罪、被害弁償等をおこなっていない場合。
2.被害者が多数いる場合。
3.常習性がある場合。
4.複数による行為(共犯)の場合
5.だましたり、暴行したりした場合
等の場合があります。
児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律については、 この法律が個人(被害者)の利益を保護することを目的とした法律ではなく、 被害者はいないのではないかとの理論的争点がないわけではありませんが、 情状弁護の実践としては、被害者に対する対応をどうするかを重視することになります。
この観点から、まず、考えるべきは示談です。
できるかぎり、公判請求等がされる前に示談をできるように動くことが望ましいことになります。
児童買春等の場合は、痴漢の一部の場合と同様、親が前面に出てくる場合がほとんどであり、 この点で、困難が生じることもあります。
また、示談を行うとして弁護士にとっては、起訴前の約23日間は、大変短い期間です。
まず、示談を行うためには、被害者の氏名・連絡先を知らなければなりません。
むろん、被疑者(ひぎしゃ)の方や、その家族の方が、 警察・検察に聞いても通常教えてもらえません。
弁護士であれば、少なくとも、 検察・警察が自分たちの考えとして教えないということはありません (警察が検察に聞いてくれということはありますが)。
けれども、特に事件直後は、被害者の方が警察・検察に弁護士にも氏名・連絡先を 教えないようにという意向を示され、その意向により、警察・検察が弁護士にも 氏名・連絡先を教えないということもあります。
被害者の氏名・連絡先を知るためにも、時間を要する場合 (児童買春等の場合は、親が非常に拒絶されることもあります。)があるのです。
また、被害者の氏名・連絡先がわかったとしても、 いきなり、電話して、示談がその電話でまとまるというケースはなく、 やはり、被害者の心情を考え、手紙・電話等で、アポイントを取ってから お会いするのが正攻法です。
さらに、1度会ったからといって、まとまらず、むしろ、多数回、 お会いしなくてはならないことも多いのですが、 被害者及びその親も、休日しか会えないということもあり、 時間的には、23日間ではかなり苦しくなるケースも多々あります。
示談の外に、起訴猶予にするための手段としては、被疑者(ひぎしゃ)の方が、 再び、当該犯罪をしないことをできるだけ客観的に示す資料を提出することです。
たとえば、職場で、家庭で監督してくれる人がいれば、その方の陳述書あるいは、 今、現在、職業がなくても、雇ってくれるという人がいればその方の陳述書を 提出するなども考えられます。
また、被疑者・被告人に児童買春問題についての一般向け文献を読んでもらい、 感想文を書いてもらうという手段もあります。
ただ、示談以外の手段はいずれも、効果が不明確で、 示談のように起訴猶予に向かわせる強力な力に欠け、 また、起訴前の短い時間の中では、提出すること行うことが困難なことも多く、 やはり、被疑事実を認めている場合、 被害を回復するため努力したことを示す有力な手段は、示談です。
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