強姦罪が不同意性交罪に改正されたため、今までより重く、処罰されるようになった犯罪行為があるということですが、どのような行為でしょうか。
従前の強姦罪(旧刑法177条)は、暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を「姦淫(かんいん):性交すなわち、男性が女性の膣内に陰茎を入れる行為」をした者のみを処罰していました。

しかし、現在の不同意性交罪(刑法177条)は、「性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなものをした者」を処罰しています。

さらに、被害者及び行為者の性別も問わないことになっています。

ここに記載された性交以外の

肛門性交(こうもんせいこう:肛門内に陰茎を挿入する行為)、口腔性交(こうくうせいこう:口腔内に陰茎を挿入する行為)、など性交類似の行為

と、膣、若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為

に該当する行為としては、例えば、列車内の痴漢で、被害者の下着の中に手を入れ、指を膣の中に入れるような行為などがあります。

これらの行為については、いままでは、強制わいせつ罪で処罰されていました。

強制わいせつ罪の法定刑は、平成16年の改正前までは6カ月以上7年以下の懲役、同改正後は6カ月以上10年以下の懲役でした。また、現在の不同意わいせつ罪の法定刑も、6カ月以上10年以下の拘禁刑です。

しかし、不同意性交罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑です。

執行猶予がつく可能性があるのは、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金(刑法25条1項)ですので、法律上の減刑(法律で定められた減刑原因であり、心神耗弱、中止未遂、従犯などの必要的減刑、過剰防衛、過剰避難、自首、未遂などの任意的減刑)や酌量減刑(犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、裁判所がその刑を減軽すること)により、3年以下の刑に減刑されない限り、執行猶予ということはなく、実刑になるということです。

強制わいせつ罪の初犯の場合は、ほとんどの場合、執行猶予なのに対し、不同意性交罪の初犯の場合は、ほとんどの場合、実刑となるということですので、同じ行為に対し、いままでより、はるかに重く処罰されるようになりました。

このように性犯罪は、現在、犯罪化・重罰化が最も顕著な犯罪となっており、疑われたり、逮捕された場合は、その対応が非常に難しくなります。そのような場合は、刑事弁護に強い弁護士に相談することをお勧めします。

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