逮捕とは、捜査機関又はそれ以外の普通の人が被疑者又は現行犯人の身体の自由を拘束し、引き続き抑留することです。
逮捕の種類としては、通常逮捕現行犯逮捕・準現行犯逮捕緊急逮捕があります。

通常逮捕とは、裁判官が発行した逮捕状に基づく逮捕です。
逮捕状がなければ逮捕できませんので、警察・検察は、事前に裁判所に被疑者の氏名と年齢・職業・住所、罪名・被疑事実の要旨、被疑者の逮捕を必要とする理由等を提出し逮捕状の発行を請求することになります。

現行犯逮捕とは、現に犯罪を行い、又は現に犯罪を行い終わった者に対して行われる逮捕のことで、これらの者については、警察・検察以外の普通の人であっても、令状なしで逮捕することができます(刑事訴訟法213条)

このような現行犯逮捕が認められるのは、犯人であることが明白であること及び犯行と逮捕との間の時間が短いことによるとされています。そのため、犯人であることが明白であっても、数時間経過した後では、現行犯逮捕はできません。

この現行犯逮捕と類似した逮捕の種類として、準現行犯逮捕があります。

準現行犯逮捕は、「犯罪を行い終わってから間がないと明らかに認められる」者が、①犯人として呼ばれ追われている(追呼されている)ときか、②犯罪で取得した物(贓物(ぞうぶつ)等)又は明らかに犯罪に使用したと思われる兇器その他の物を所持しているとき、③身体または衣服等に犯罪の顕著な証拠があるとき、④誰何されて逃走しようとするときの①から④のいずれかに当たる場合は、現行犯人とみなされ令状なしで逮捕することが可能となります(刑事訴訟法212条2項)。

現行犯逮捕・準現行犯逮捕のいずれの場合も、警察・検察でない普通の人が逮捕した場合は、直ちに警察又は検察に引き渡さなくてはなりません。

緊急逮捕とは、死刑、無期又は長期3年以上の懲役・禁固に当たる罪を犯したことを疑う十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を待っていては、時期を失するときに、その理由を被疑者に告げて、逮捕をすることです(刑事訴訟法210条)。

緊急逮捕を行った場合は、逮捕後、直ちに裁判官に逮捕状を求め、それが発行されない場合は、直ちに被疑者を釈放しなければなりません。

では、これらの逮捕は、どのように行われるのでしょうか。

電車内における痴漢(迷惑防止条例違反)の場合について、ご説明しましょう。

例えば、痴漢により、東京都迷惑防止条例5条1項に違反した場合は、常習の場合でも、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金ですので、死刑、無期又は長期3年以上の懲役・禁固に当たる罪には、あたらず、緊急逮捕は行うことができません

そこで、まず、痴漢が発見されたときに、①犯行の直後等に被害者又は第三者が現行犯逮捕を行うことが考えられます

次に、駅員等を通じ、警察官が呼ばれ、警察官が被疑者の同意の下、②警察署に任意同行し、取調べの結果等により、逮捕の必要性があると判断したら、裁判所に逮捕状を請求し、逮捕状を取得して、通常逮捕を行うことが考えられます。

さらに、例えば、②の取調べの際、逮捕の必要性等が明らかでなく、その後、明らかになった場合や、犯行の現場から逃走したが、防犯カメラや、改札の入出の記録(定期等)により、被疑者が特定できた場合などは、まず、③被疑者の自宅を捜索・押収の上、その同意の上で、警察署に任意同行して、取調べの上、(場合によっては事前に)裁判所に逮捕状を請求し、通常逮捕を行うことが考えられます。

加えて、まず、④被疑者に対し、警察署への任意出頭を求め、取調べをした上で、裁判所に逮捕状を請求し、通常逮捕を行うことも考えられます。

電車内の痴漢の場合、一番多いのは、②のパターンだと思います
事実上、①の現行犯逮捕の場合であっても、あとでの疑義(現行犯逮捕が成立するかどうかの争い)をさけるため、手続上、②で処理する場合もありえます。

また、③の場合は、警察も下準備等が必要なため、比較的少ないです。

逮捕さらに勾留による長期の拘束は、事実上、被疑者に取って、場合によっては職業を失う等の大きな損害を生じます。万が一、逮捕された場合は、刑事弁護に強い弁護士にご相談下さい。

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※無料相談が可能な方は「東京都内の警察に逮捕された方またはその家族の方」となります。