日本では、警察・検察の取調べに、弁護人が立ち会うことはできません。
そこで、取調べの内容を記録するなどのために、考えられたのが被疑者ノートです。
特に黙秘の事件や否認の事件などの委任を受けた弁護人は、被疑者・被告人に、この被疑者ノートを差し入れます。
この被疑者ノートは、1 身体拘束と刑事手続の流れ、2 取調べに向けての大切なアドバイス(①今後の手続について、②弁護人との接見の大切さ、③取調べを受ける心がまえ、④「被疑者ノート」作成のおすすめ、⑤「被疑者ノート」の書き方、⑥「被疑者ノート」の使い方、⑦違法・不当な取調べを受けたときなど)、3 「被疑者ノート」の記載部分などで構成されています。
この被疑者ノートは、日本弁護士連合会(通称「日弁連」)のサイトから、ダウンロードすることができますので(「日弁連」「被疑者ノート」)、興味がある方は、見ていただければと思います。
この被疑者ノートの目的は、
ア 弁護人が取り調べ状況・被疑者の状態を把握する
イ 証拠として使用する
などです。また、間接的に取調べを牽制する効果もあります。
被疑者ノートの書き方については、被疑者ノートに前記のように、記載の仕方と記載例が書いてあります。
被疑者ノートへの記載に際し、注意する点としては、
取調べについて、その取調べがあった後に、どのような内容を聞かれたか等の事実を記載するということです。
まず、できるだけ、その取調べがあった日に記載して下さい。また後日、追記はしないようにして下さい。追記すると証拠価値が下がることになります。後で、記載したい場合は、その追記をする日に記載して下さい、
さらに、自分が思ったことや評価は記載しないようにして下さい。
加えて、取調べで説明していない事件内容は記載しないようにして下さい。
警察の留置管理者等に読まれることもありますし、後日、証拠として使おうとする際に、その記載が不利に使われるおそれがあると使用できなくなることもあります。
などがあります。記載の仕方が分からない場合は、弁護人に聞くようにして下さい。
また、その他の注意点としては、以下のようなものがあります。
警察や検察の取調官に被疑者ノートを見せてはいけません。その内容を聞かれても答えてはいけません。
弁護人との接見の際には、被疑者ノートを持って、接見室に入るようにして下さい。
被疑者ノートを証拠化する方法としては、被疑者ノートを宅下げする方法、バラバラのページで、被疑者ノートを差し入れ、必要な部分のみを宅下げした上で、確定日付を得るなどの方法がありますが、弁護人の指示に従うようにして下さい。
※無料相談が可能な方は「東京都内の警察に逮捕された方またはその家族の方」となります。