痴漢事件で逮捕されないのはどういう場合なのか教えて、逮捕されない場合はどうなるのか教えて、という質問がありましたので、そのような疑問をお持ちになった方のために、お答えいたします。
ただし、下記の記事は、あくまで東京の警察における扱いを前提としていますので、ご注意下さい。
痴漢を認めているのに逮捕されないとは?
痴漢を認めているのに逮捕されないこともある、と聞いて不思議に思ったことと思います。
しかし実際には、痴漢しても逮捕されないケールはあります。
痴漢で逮捕される場合は、現行犯逮捕か通常逮捕です。
現行犯逮捕とは、現行犯人(現に罪を行っている者または行い終わった者)に対し、令状無しで、私人でも行うことができる逮捕です。
電車内の痴漢の場合であれば、①被害者が直接逮捕をした場合、②近くの人が逮捕する場合や、③逃げたため駅員等が逮捕する場合等が考えられます。
通常逮捕とは、裁判官から発布された逮捕状により被疑者を逮捕することです。
通常逮捕の要件は、①罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由及び②逃亡又は罪証隠滅のおそれです。
罪証隠滅のおそれというのは、証拠を隠しゆがめることで、例えば被害者を脅かして証言を変更させるなどですが、痴漢の場合は、被害者は、電車の中でたまたま近くにいた人ということが多く、問題になるケースは少ないです。
そこで、問題は、逃亡のおそれの有無なので、逃亡しようとせず、罪を認めており、さらに、ある程度安定した会社に勤務して、家族と一緒に生活している場合は、逮捕されないことが多いです。
ただし、公務員(特に教員、自衛隊員)、大会社の部長以上、医師、弁護士等の職種については、取り扱いが異なる場合があります。
通常は、これらの職種は、逃亡のおそれが少ないと判断されますが、あえて警察が逮捕するという事案もあります。
推測ですが、これらの職種の犯罪は、ニュースバリューがあり、かつ、逮捕されない事案は報道しにくいことから、マスコミとの関係から逮捕されるのではないかと思えます。
逮捕されない場合のその後は?
逮捕されない場合は、その日のうちに、ア 供述録取書(警察が供述を記載した書面に被疑者が署名・捺印したもの)を作成するか、イ 上申書(被疑者が自筆で罪を認める内容を記載する)を作成し(この場合は、後日、供述録取書を作成する)、開放されます。
しかし、これで、終了ではなく、供述録取書等の完成後は、検察庁に送致され、起訴、不起訴の処分が行われることになります。
つまり、逮捕はされないが、後日、書類送検されるということです。
送検後の流れはどうなるの?
送検後は、検事が起訴するか不起訴にするかを決めることとなります。
痴漢でつかまり駅員室に連れていかれ、警察で供述録取書を作成したが、その日のうちに帰れると、微罪処分で許されたのかと、それで終わりと思う人がいますが、ほっておくと起訴されてしまいます。
早めに弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に依頼をすると、弁護士はまず、警察・検察に連絡し、被害者への意向確認をお願いします。
これを受けると、警察・検察は、被害者に、その名前と電話番号を弁護士に教えて良いかどうかを聞いてくれます(警察は、まれに検察に聞いてくれと断ることがあります)。
意向確認をする膳手条件として、警察・検察からは、弁護士が、依頼者である被疑者に被害者の名前を伝えないことが求められます。
痴漢事件の場合、被害者は、被疑者に自分の名前、住所を知られることを拒否します。
そこで、痴漢事件で、被害者と示談をするためには、被疑者本人が行うことはできず、弁護士に依頼しなければなりません。
そして、痴漢事件で不起訴(起訴猶予)にするためには、被害者との示談が絶対必要ですので、不起訴を希望するのであれば、弁護士に相談することが必須です。
弁護士が、被害者の連絡先を知る、または、被害者から連絡を受けたら(被害者によっては、最初の段階では弁護士にも自分の電話番号を伝えることを拒否される方もあり、この場合は、弁護士の名前・連絡先が被害者に伝えられます)、弁護士は、被害者に面談等行い、示談を成立させるように粘り強く交渉します。
川合晋太郎法律事務所(東京弁護士会所属)ではご依頼いただいた刑事事件の95%以上で示談を成功させ、多くの不起訴を獲得しています。お気軽にご相談ください。
※無料相談が可能な方は「東京都内の警察に逮捕された方またはその家族の方」となります。
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